住宅ローンでは、変動金利か固定金利かに注目しがちです。でも、同じ借入額と金利でも「元利均等返済」と「元金均等返済」のどちらを選ぶかで、毎月返済額、元金の減り方、総利息が変わります。
元利均等は毎月返済額をそろえる方法。元金均等は毎月返す元金をそろえる方法です。名前は似ていますが、返済開始直後の負担にはかなり差が出ます。
総利息だけなら元金均等が少なくなりやすい一方、最初の返済額は高くなります。返済開始直後は、引っ越し、家具家電、外構、固定資産税、子育てなどが重なりやすいため、利息の差だけで決めると現金が足りなくなるかもしれません。
この記事では、4,000万円を35年で借りる例を使い、返済額、総利息、10年後・20年後の残高を比較します。結論は、総利息では元金均等、家計の安定では元利均等が選びやすいです。
元利均等返済と元金均等返済の違い
住宅ローンの毎月返済額は、借りたお金を返す「元金」と、借入残高にかかる「利息」で構成されます。二つの返済方法は、何を均等にするかが違います。
元利均等返済は、元金と利息の合計を一定にする
元利均等返済は、元金と利息を合わせた毎月返済額が原則として同じになるように計算します。返済開始直後は利息の割合が大きく、返済が進むにつれて元金の割合が増えます。
毎月の住居費を予算化しやすく、教育費や生活費と合わせた家計管理がしやすいのがメリットです。多くの住宅ローンで利用される一般的な返済方法です。
元金均等返済は、毎月返す元金を一定にする
元金均等返済は、借入額を返済回数で割り、毎月同じ金額の元金を返します。そこへ残高に応じた利息を加えるため、借入直後の返済額が最も高く、残高が減るにつれて返済額も下がります。
元金の減りが早いため、同じ金利と返済期間なら、元利均等返済より総利息を抑えやすくなります。ただし、当初返済額が大きく、金融機関の審査で返済負担率へ影響する場合があります。
| 比較項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 一定になるもの | 元金+利息の返済額 | 返済する元金 |
| 当初返済額 | 低め | 高め |
| 返済額の推移 | 原則一定 | 徐々に減る |
| 元金の減り | 比較的遅い | 比較的早い |
| 総利息 | 比較的多い | 比較的少ない |
4,000万円・35年・年1.5%で返済額を比較
具体的な差を見るため、4,000万円を35年、年1.5%、ボーナス返済なしで借りる仮定を置きます。金利が35年間変わらない前提の単純比較で、実際の商品金利や手数料は含みません。
| 比較項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 初回返済額 | 約12万2,500円 | 約14万5,200円 |
| 最終回返済額 | 約12万2,500円 | 約9万5,400円 |
| 総返済額 | 約5,143万9,000円 | 約5,052万5,000円 |
| 総利息 | 約1,143万9,000円 | 約1,052万5,000円 |
| 総利息の差 | 基準 | 約91万4,000円少ない |

元金均等返済は総利息を約91万円抑えられますが、初回返済額は元利均等より約2万2,700円高くなります。年間では約27万円の差です。
この差を無理なく払えるなら元金均等は魅力があります。一方、毎月2万円強を生活防衛資金や教育費へ残した方が家計が安定する家庭では、元利均等を選び、余裕がある年だけ繰上返済する方法もあります。
10年後・20年後の残高は元金均等の方が少ない
返済方法の違いは、売却や借り換えをするときの残高にも表れます。同じ条件で計算すると、10年後の残高は元利均等が約3,062万円、元金均等が約2,857万円です。元金均等の方が約205万円少なくなります。
20年後では、元利均等が約1,973万円、元金均等が約1,714万円で、差は約259万円です。早い段階で売却する可能性がある場合、残高が早く減ることは、売却価格よりローン残高が多くなるリスクを下げる材料になります。
ただし、元金均等で当初返済額を上げるために手元現金を減らしすぎれば、家計全体の安全性は下がります。住宅ローン残高だけでなく、預貯金と合わせた純資産で見ることが大切です。
変動金利では5年ルール・125%ルールの扱いが違う
変動金利の元利均等返済では、適用金利が変わっても返済額を5年間据え置く「5年ルール」と、見直し後の返済額を前回の125%以内に抑える「125%ルール」を採用する金融機関があります。
元金均等返済では毎月返す元金が決まっているため、一般にこの二つのルールは適用されません。金利が上がれば、残高にかかる利息の増加が返済額へ反映されます。
ただし、5年ルール・125%ルールはすべての銀行にある制度ではありません。また、返済額の急増を抑えても利息が免除されるわけではなく、元金の減りが遅くなることがあります。詳しくは変動金利の返済額がいつ上がるかで整理しています。
「元利均等なら返済額がずっと一定」ではありません。変動金利では金利見直し、固定期間選択型では固定終了時に返済額が変わる可能性があります。
元利均等返済が向いている人
- 借入直後の毎月返済額を抑えたい
- 毎月の住居費を一定にして家計管理したい
- 子育てや家具家電で当初の支出が多い
- 手元現金を厚く残し、余裕があるときに繰上返済したい
元利均等返済は、総利息だけを見ると不利でも、家計の柔軟性を作りやすい方法です。返済初期に残した現金は、出産、育休、修繕、車、教育費など幅広い支出へ使えます。
ボーナスや副収入があった年に繰上返済をすれば、元金の減りが遅い弱点を補うこともできます。ただし、住宅ローン控除や手元資金との優先順位は確認が必要です。
元金均等返済が向いている人
- 当初返済額を払っても十分な現金が残る
- 総利息を抑え、元金を早く減らしたい
- 将来の収入減少前に返済負担を下げたい
- 住み替えや売却の可能性があり、残高を早く減らしたい
元金均等返済は、返済開始時の家計に余裕があり、将来へ向けて負担を下げたい家庭に向いています。子どもが小さいうちは返済を多くし、教育費が増えるころには返済額を下げたい場合にも考えやすいです。
ただ、返済開始時は住宅関連支出が最も重なりやすい時期でもあります。初回返済額だけでなく、固定資産税、火災保険、外構、家具家電を加えた年間住宅費で余裕を確認してください。

元金均等返済を選ぶ前に確認したい4つの注意点
第一に、すべての金融機関・商品で元金均等返済を選べるわけではありません。ネット申込では元利均等だけを扱う商品もあるため、事前審査前に返済方法の選択可否を確認します。
第二に、審査では当初返済額が高い分、元利均等より返済負担率が大きく見える場合があります。希望借入額では元金均等を選べない、または借入可能額が下がる可能性があります。
第三に、住宅ローン控除中は残高が早く減るため、元利均等より控除対象残高が小さくなる場合があります。ただし控除額は所得税・住民税、住宅性能、入居年などにも左右されます。控除を増やすためだけに利息の多い返し方を選ぶのではなく、税引後の総負担で比較します。
第四に、元金均等を選んだ後で返済方法を自由に変更できるとは限りません。金融機関の承認や再審査が必要になることがあります。収入減少時の条件変更も契約前に確認したいです。
元利均等を選び、元金均等との差額を毎月貯めておけば、その現金は繰上返済にも緊急支出にも使えます。元金均等の強制的に残高を減らす力と、元利均等の現金を残す柔軟性のどちらが自分に必要かを考えます。
どっちか迷ったときの判断順
私は、総利息の少なさだけで元金均等を選ぶより、次の順番で考えます。
- 元金均等の初回返済額で毎月黒字になるか
- 入居後も生活費6〜12か月分の現金が残るか
- 教育費・車・修繕が重なる年でも返済できるか
- 金利上昇時の返済額を両方の方法で試算したか
- 元利均等+任意の繰上返済とも比較したか
この確認で元金均等でも余裕が残るなら、総利息と残高を減らせるメリットを取りやすいです。反対に、初回返済額を払うために貯蓄や投資を止めるなら、元利均等で現金を残す方が家計に合う可能性があります。
私は住宅ローンを、利息だけを最小化する問題とは考えていません。家族の選択肢を残しながら完済することが目的です。約91万円の利息差と、35年間の資金繰りの柔軟性を並べて決めたいです。
また、元利均等を選んだ場合でも、差額を生活費へ使い切ると元金均等との差は広がります。差額の一部を貯蓄や繰上返済原資として自動積立できるかも、実際の選び方を左右します。
まとめ:お得さではなく、当初返済額と現金余力で選ぶ
元利均等返済は毎月返済額をそろえ、元金均等返済は毎月返す元金をそろえる方法です。元金均等は元金が早く減り、総利息を抑えやすい一方、借入直後の返済額が高くなります。
4,000万円・35年・年1.5%の例では、元金均等の総利息は約91万円少なくなりましたが、初回返済額は約2万2,700円高くなりました。どちらがよいかは、この差額を払っても現金を残せるかで変わります。
元金均等の初回返済額、元利均等で差額を貯蓄する案、元利均等で繰上返済する案を同じ条件で比べる。私はこの3案を並べて、最も無理なく続けられる方法を選ぶのがよいと思います。

主な確認資料
