ペアローンで家を買うとき、借入額や金利の話は夫婦でかなり確認すると思います。
ただ、住み始めた後に意外と迷いやすいのが、住宅ローン控除の初年度確定申告です。ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローン契約を持つため、単独ローンよりも「誰の書類か」「どちらの年末残高か」「持分と借入割合が合っているか」を分けて見る必要があります。
国税庁の住宅ローン控除案内では、令和4年以降に居住した新築等について、一定の要件を満たす場合に住宅ローン等の年末残高を基に控除額を計算できると説明されています。初年度は年末調整だけではなく、確定申告で手続きするのが基本です。
この記事では、ペアローンで住宅ローン控除を受けるときの確定申告を、税額の細かな計算ではなく、夫婦で迷いやすい確認順に絞って整理します。税務判断は個別事情で変わるため、最終的には国税庁の最新案内、税務署、税理士に確認してください。
ペアローンの確定申告は夫婦それぞれで考える
ペアローンは、夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約を持つ形です。たとえば夫が3,000万円、妻が2,000万円を借りるなら、住宅ローンは2本あります。団信も契約者ごとに考えますし、住宅ローン控除も基本的にはそれぞれの借入と持分を見て判断します。
ここで大事なのは、「世帯で5,000万円借りたから、夫婦でなんとなく控除を分ける」ではないことです。誰がいくら借りたのか、登記上の持分はどうなっているのか、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書は誰宛てに出ているのか。この3つを先にそろえます。
住宅ローン控除は、家計全体ではなく個人の所得税から控除される制度です。夫婦どちらも控除を受けたいなら、夫婦それぞれが要件を満たしているかを見る必要があります。共働きだから自動的に2人とも同じように使える、という理解は危ないです。
私は住宅ローンを考えるとき、金利より先に「あとで説明できる形になっているか」を見たいです。借入割合、持分、返済負担、控除の申告がバラバラだと、確定申告の時期に慌てやすいからです。

初年度は住宅ローン控除の確定申告が必要になる
会社員でも、住宅ローン控除を初めて受ける年は確定申告が必要です。国税庁の確定申告特集でも、住宅ローン控除を初めて受ける場合は、住宅の区分に応じた提出書類を添付して確定申告をすると案内されています。
会社員にとって確定申告は、普段の年末調整より心理的なハードルがあります。しかもペアローンの場合、夫婦それぞれの源泉徴収票、マイナンバー関係、住宅ローンの年末残高等証明書、登記事項証明書、契約書類などを確認するため、片方だけが全部を把握していると抜け漏れが出やすいです。
国税庁の令和7年分様式一覧では、住宅控除関係として「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や、その書き方、住宅ローン控除を受ける方向けの説明資料が用意されています。連帯債務がある場合は、別途「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も示されています。
ペアローンと連帯債務は同じではありません。だからこそ、自分たちの借り方がペアローンなのか、連帯債務なのか、収入合算なのかを先に金融機関の契約書類で確認した方がいいです。名前が似ていても、必要書類や残高の見方が変わります。
持分と借入割合を先に照合する
ペアローンの確定申告で最初に見たいのは、登記上の持分と借入割合です。
たとえば夫婦で5,000万円の住宅を買い、夫3,000万円、妻2,000万円を借りたとします。このとき持分が夫3/5、妻2/5のように借入や自己資金の負担と近い形になっていれば、説明しやすいです。反対に、借入負担と持分が大きくずれている場合は、贈与や税務上の論点が出る可能性があります。
もちろん、自己資金の出し方、親からの援助、土地と建物の契約、夫婦間の負担割合によって事情は変わります。だから、この記事で「この割合なら大丈夫」と断定することはできません。ただ、確定申告の前に、持分と実際の負担を夫婦で説明できる状態にしておくことは大切です。
住宅ローン控除では、年末残高、取得対価、持分などが計算に関係します。国税庁の住宅ローン控除ページでも、家屋の登記事項証明書や契約書の写し、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書などが提出書類として案内されています。
この確認は、家を買ってからでは遅い場合があります。ペアローンを組む前、少なくとも登記持分を決める前に、住宅会社、金融機関、必要なら税理士へ確認した方が安心です。
控除額だけを最大化しようとすると、持分や負担割合の説明が後回しになりがちです。でも、ペアローンは夫婦それぞれが長く返済していく契約です。税務上の見え方と、実際の家計負担が大きくずれていないかを先に確認しておく方が、後から家計管理もしやすくなります。

連帯債務とペアローンを混同しない
検索していると、「ペアローン」「連帯債務」「収入合算」が同じように語られることがあります。でも、確定申告ではここを混ぜない方がいいです。
ペアローンは夫婦それぞれがローン契約を持ちます。連帯債務は1本のローンに対して複数人が債務者になる形です。収入合算は審査上、家族の収入を加えて借入可能額を見てもらう考え方で、契約形態は商品によって違います。
国税庁の住宅ローン控除の提出書類案内では、連帯債務がある場合に付表が必要とされています。これは、年末残高をどのように分けて計算するかを整理するためです。ペアローンであれば、まずは夫婦それぞれの年末残高等証明書と契約内容を見ます。
ここを曖昧にしたまま申告書を作り始めると、途中で「自分たちはどの欄に入れるのか」が分からなくなります。確定申告書等作成コーナーを使う場合でも、入力前に契約形態、持分、残高証明書の名義を手元で整理しておく方が進めやすいです。
住宅ローンの収入合算、ペアローン、連帯債務の違いは、別記事でも整理しています。確定申告の前に、自分たちの借り方の名前を確認しておくと、書類の読み間違いを減らせます。
もう一つ気をつけたいのは、金融機関の説明で使われる言葉と、税務上の整理で見る言葉が必ずしも同じ感覚ではないことです。住宅ローン相談では「夫婦で借りる」「収入を合わせる」とまとめて話されることがありますが、申告では残高証明書、登記、契約書、返済負担の事実を一つずつ見ます。
この違いを曖昧にしたまま進めると、確定申告の作成画面ではなく、書類を読み直すところで時間を使います。ペアローンなら2人分、連帯債務なら付表の扱い、収入合算なら主債務者や連帯保証人の関係を、最初に紙へ書き出すくらいでちょうどいいと思います。
夫婦で分けて集めたい書類
ペアローンの初年度確定申告では、夫婦で共通の書類と、それぞれで必要になる書類を分けて置くと整理しやすいです。
- 夫婦それぞれの源泉徴収票
- 夫婦それぞれの住宅ローン年末残高等証明書
- 登記事項証明書で分かる家屋・土地の持分
- 工事請負契約書や売買契約書の写し
- 土地の購入がある場合の土地関係書類
- 補助金、贈与、自己資金の負担メモ
最後の自己資金メモは、国税庁の提出書類そのものではありません。ただ、夫婦で説明を合わせるためには役に立ちます。誰がいくら出したのか、親からの援助があるのか、住宅取得資金贈与の特例を検討したのか。あとから記憶で戻るより、家づくりの支払い時点で残しておく方が安全です。
一条工務店の家づくりでは、建物代だけでなく土地、外構、登記、火災保険、家具家電、太陽光や蓄電池など、支払いが複数に分かれます。住宅ローン控除の申告に直接使わない支出もありますが、総額を夫婦で把握しておくと、借入と持分の話を整理しやすくなります。
特に土地を先に買った場合や、つなぎ融資を使った場合は、支払い時期と住宅ローンの実行時期が分かれます。控除対象になる借入か、土地分も含めて考えるのか、家屋の取得とどうつながるのかは、書類だけを見てもすぐに分からないことがあります。国税庁の住宅ローン控除案内でも、土地の購入に係る借入については、土地の登記事項証明書や売買契約書などで取得年月日や取得対価を明らかにする書類が示されています。
私は、申告前の書類整理では「税務署に出す書類」と「夫婦で説明を合わせるメモ」を分ける方がよいと思っています。提出書類だけをそろえても、なぜその持分にしたのか、どちらがどの支払いを負担したのかを夫婦で説明できなければ、次に住宅ローンを見直すときにも困るからです。
2年目以降は年末調整で済むことが多い
住宅ローン控除は、初年度に確定申告をした後、会社員なら2年目以降は年末調整で手続きできることが多いです。
国税庁は、年末調整で住宅借入金等特別控除を受ける方向けに、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼計算明細書と、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書を給与の支払者へ提出する流れを案内しています。
ただし、ペアローンでは夫婦それぞれが自分の勤務先で年末調整することになります。片方の勤務先へもう片方の残高証明書を出すわけではありません。夫婦でまとめて処理するというより、それぞれの勤務先で必要書類を出す感覚です。
転職、退職、育休、医療費控除、副業所得、ふるさと納税のワンストップ特例との関係などで、2年目以降も確定申告が必要になることがあります。年末調整で終わると思い込まず、その年の状況を確認するのが現実的です。
共働き家庭では、片方だけが育休や時短勤務になる年もあります。所得税が少ない年は、控除しきれない部分や住民税側の扱いも気になります。細かな計算は制度と所得で変わりますが、「去年と同じ書類を出せば終わり」と思わず、その年の収入、勤務先、他の控除を見直す癖をつけておくと安心です。
ペアローンは控除額より返済余力を先に見る
ペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローン控除を使える可能性があるため、単独ローンより税負担を抑えやすい面があります。ここだけを見ると魅力的です。
でも、私は控除額を理由に借入額を増やしすぎるのは避けたいです。住宅ローン控除は家計を助ける制度ですが、返済そのものを軽くする魔法ではありません。控除期間が終われば返済だけが残りますし、収入減や教育費増、修繕費、固定資産税も続きます。
ペアローンを選ぶなら、確定申告で控除を受ける準備と同じくらい、片方の収入が減ったときの返済余力を確認した方がいいです。夫婦2人の収入で借りられる金額と、どちらかの収入が落ちても暮らせる金額は違います。
ペアローンのメリット・デメリットや離婚時の注意点は、一条工務店のペアローンはあり?で詳しく整理しています。万一の保障まで含めて見るなら、ペアローン団信とは?も合わせて読むと判断しやすいです。収入合算、ペアローン、連帯債務の違いは、記事末の関連記事にも置いておきます。
まとめ:申告前に借入・持分・残高を夫婦でそろえる
ペアローンの確定申告で迷ったら、最初に細かな控除額を計算するより、借入、持分、年末残高を夫婦でそろえて確認するのが先です。
- ペアローンは夫婦それぞれのローン契約として見る
- 初年度の住宅ローン控除は確定申告が必要になる
- 持分、借入割合、年末残高等証明書の名義を照合する
- 連帯債務や収入合算と混同しない
- 2年目以降も勤務先や家庭状況の変化を確認する
住宅ローン控除はありがたい制度ですが、制度のために家を買うわけではありません。確定申告で困らない形に整理しつつ、夫婦で無理なく返せる借り方になっているかを、最後まで確認したいです。
もし書類を見ても判断できない場合は、申告期限ぎりぎりまで抱え込まず、早めに税務署や専門家へ聞く方が安全です。ペアローンは金額が大きく、夫婦2人分の申告に影響します。迷った箇所をメモにして相談すれば、何を確認したいのかも伝えやすくなります。
住宅ローン控除は毎年の家計にも関わるため、初年度に整理したメモは翌年以降も残しておきたいです。年末調整で済む年でも、残高証明書と勤務先提出書類を見比べる基準になります。
この記事は一般的な確認順の整理です。住宅ローン控除、贈与、持分、連帯債務、年末調整の扱いは個別事情や法令改正で変わります。実際の申告では、国税庁の最新資料、税務署、税理士、金融機関に確認してください。


